理事長挨拶
理事長挨拶

niwa.jpg2011年9月15日の大阪で開催されました第36回日本医用マススペクトル学会総会において理事長に選出されましたのでご挨拶いたします。
日本医用マススペクトル学会は1976年に、医用マス研究会として、質量分析という分子レベルの分析法を主な手段とする医学関連分野の学術団体として設立されました。本会は、質量分析の医学関連科学への応用と、この分野の学問の進歩発展を図ることを目的としています。本会は、医学、薬学、理学、工学、農学等を含む異分野の研究者が集まる学際的な学術団体です。

1. 研究の促進と知識の普及
学会設立初期はガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いた有機酸代謝異常症の化学診断が本会の大きな柱の一つでした。その後の、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)などのソフトイオン化法の開発により、質量分析の発展はめざましく、学会設立当時には予想もつかなかったタンパク質の精密な質量分析が可能になりました。また液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)、キャピラリー電気泳動/質量分析(CE/MS)、タンデム質量分析(MS/MS)、さらにはイメージング質量分析など質量分析技術の開発により、質量分析の医学・生物学への応用範囲は飛躍的に伸びました。最近の質量分析技術の進歩は実用的なプロテオーム・メタボローム解析を可能にし、質量分析はいまや分子生物学、生化学など医学関連科学の研究に必須の手段となっています。本会は、新たに開発された質量分析技術の知識を普及させ、医学関連科学への応用研究を促進することを目指します。

2.学会活動のグローバル化
1996年から学会の国際的な情報発信として、国際誌J Chromatogr B special issue を年1回発行しています。2011年からは、Anal Bioanal Chemに変更して、年1回発行しています。今後とも学会活動の成果を国際誌に発表して、日本における質量分析を用いた医学・生物学研究のレベルの高さを世界に発信するように努めます。

3.社会貢献と人材育成
本会は、質量分析を用いた医学関連科学研究の成果を社会に還元することを目標とし、本会の活動成果が患者さんをはじめ国民の健康や福祉の向上に貢献するようにしたいと思います。本会の研究活動成果の一例として、タンデム質量分析およびガスクロマトグラフィー/質量分析が新生児代謝異常症のスクリーニングおよび精密診断に用いられ、新生児代謝異常症の予防、治療に貢献しています。
本会が持続的に発展し、質量分析を用いた医療関連科学研究を促進させるためには、意欲ある若手研究者の育成が急務であります。また男女共同参画の見地からは女性が研究を継続できるように、本会での活躍をサポートしたいと思います。
まだ会員でない方は、本会に入会して、異分野の研究者と交流し切磋琢磨して、それぞれの研究課題のブレイクスルー、新しい研究領域の開拓などのすばらしい研究成果をあげられることを期待しています。

平成23年10月 丹羽利充

日本医用マススペクトル学会 (Jpn. Soc. Biomed. Mass Spectrom. JSBMS)
事務局 〒466-8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65
名古屋大学大学院医学系研究科 尿毒症病態代謝学
E-mail: jsbms@med.nagoya-u.ac.jp
Tel: 052-744-1980 Fax: 052-744-1954