理事長挨拶
理事長挨拶

2026年7月25日に開催されました臨時理事会において、一般社団法人日本医用マススペクトル学会の理事長を拝命いたしました。伝統ある本学会の舵取りを担うこととなり、光栄に存じますとともに、その責任の重さに身の引き締まる思いです。

本学会は、日本医用マス研究会として発足して以来、半世紀にわたり、質量分析という分子レベルの解析手法を軸に、医学・薬学・理学・工学・農学を横断する学際的な学術団体として歩んでまいりました。山村雄一初代理事長をはじめ、歴代の理事長と先達の先生方が築いてこられた土台の上に、いま私たちは立っております。昨年、設立50周年という節目を越え、本学会は新たな半世紀の入口にあります。

この半世紀で、質量分析は大きく姿を変えました。ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)による先天代謝異常症の化学診断に始まり、ソフトイオン化法による生体高分子の解析、そして質量分析イメージング(MSI)による組織内分子分布の可視化へと、対象も手法も広がり続けています。私自身、質量顕微鏡法の開発に長く携わってまいりましたが、この技術がいまや研究室の中だけのものではなく、病理診断や創薬の現場で実際に使われるものになりつつあることを、日々実感しております。

これからの本学会に求められているのは、この「実装」を着実に進めることだと考えております。第一に、医用質量分析認定士制度をさらに充実させ、臨床検査の現場で質量分析を担う人材を育てること。第二に、英文誌 Medical Mass Spectrometry を通じて、本邦の研究成果を世界に発信すること。第三に、海外の関連学会との連携を深め、若手研究者が国際的な舞台に立つ機会を増やすことです。そしてその前提として、学会運営の足場を固め、会員の皆様が安心して研究に打ち込める環境を整えることに、まず力を注いでまいります。

とりわけ若い世代の方々には、この学会を存分に使っていただきたいと願っております。年会は、専門を異にする研究者と時間をかけて議論し、自らのコミュニティを築く場です。異分野が同じ言葉で語り合える希少な場として、本学会がその役割を果たし続けられるよう努めてまいります。

2026年9月には、浜松におきまして第51回年会を開催いたします。多くの皆様にお集まりいただけますことを楽しみにしております。

会員の皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2026年8月吉日
一般社団法人日本医用マススペクトル学会 理事長
瀬藤 光利